2020.11.04
【連載】「コロナの中で」①“食事”を通してつながり続ける -28年間の経験を活かして-
※本記事は大阪市社会福祉協議会ホームページの過去の掲載記事を転載しています。情報は記事掲載時点のものであること、また、リンク設定が一部無効となっている場合があることをご了承ください。
このコーナーでは新型コロナウイルスの影響下において地域福祉に関わるさまざまな「人」に焦点を当てて、インタビューを通して、その人ならではのストーリーや思いに迫ります。
“食事”を通してつながり続ける -28年間の経験を活かして- 子育てが落ち着き食事サービスの世界へ 40代後半、子育ても落ち着き、ボランティアに関心を向け始めた佐藤槇子さん。ネットワーク推進員として活動する傍ら、近隣地域の食事サービスを手伝う機会があり、感銘を受けたことが現在の活動を始めるきっかけとなりました。 「日々の食事や調理が難しい高齢者世帯へ弁当を届けるために、こんなにたくさんの人が一斉に動いている、その光景は圧巻でした」 佐藤さんは、平成5年、約30人で新北島地域の食事サービス委員会を発足し、以来28年間、委員長を続けています。同会では、自宅へ弁当を届ける月2回の「配食」と、集会室に集まり一緒に食事をする月1回の「会食」を実施していますが、新型コロナウイルス感染症の流行に直面しました。 「特に残念だったのは4月のお花見会が中止になったこと。地域が一体感を得られる一大イベントで、私たちも手づくり花見弁当を食べてもらうことが喜びでした」 いつもどおり、ていねいに待っている人に届けたい 地域によっては、すべての食事サービスを中止するところもありました。しかし、佐藤さんは、迷うことなく、配食サービスだけは継続する方向で舵を切ります。 「配食は、会食と違い、マスクや手洗いなど、いつもどおり気をつければ続けられると考えました。足腰が不自由な人は、買い物が困難ですし、一人暮らしの方は自粛中、話し相手がいません。顔見知りの私たちが一食でも届けたら、という思いでした」 業者のお弁当に季節のイラストを添えた次回の案内を入れるなど、高齢者の孤独感をやわらげ、ホッとしていただける工夫をしています。会館に来られる人は、直接足を運んで受け渡し。利用者は、みな「雑談できるだけでもうれしい」と喜んでくれたそうです。 7月。4カ月ぶりの食事サービス委員会には役員12人全員が集合し、今後に向けて協議。各自が得た情報や意見を交換すると、話し出したら止まらなかったとか。 お盆前、見守り訪問のツールとして、インスタント雑炊や経口補水液等がセットされた袋を区社協から提供された時も、猛暑の中、役員で手分けして一軒ずつに届け、安否確認やこれからの活動を考える有効な情報を収集することができました。 高まる会食再開への期待もう少しだけ、待つことに スーパーに行くたびに利用者に会うと、「会食がなくてさみしいわぁ」「いつから?」と声を掛けられます。 「やっぱり会食がしたくて『大阪の社会福祉』で他区の記事も見ながら、どうすればいいかをずっと考えています。会食だけ利用していた人もいるので、ひとまず10月から、月1回の会食だった日を配食にして様子をみたいと思っています」 佐藤さんには、親しみやすい笑顔で人の心に溶け込む力と、28年間で培ってきた協力関係と信頼感があります。そうした素地が、コロナ禍にも要所要所の的確な判断を生んでいるのでしょう。 「マスクなどの感染防止等をしていれば、近所の人とも話せるし、つながり続けることができるはず。閉じこもらないように各所で声をかけていきたいと思っています」 本記事は、「大阪の社会福祉」第785号(令和2年10月発行)の掲載記事をもとに作成しています。 (担当:地域福祉課) |