2025.10.22

他地域と情報交換し、さまざまな取組みを知って、地域福祉活動の発展へ ~ 東住吉区集いの場づくりを考える会 ~

 東住吉区社協では、令和5~6年度の2年間で全14地域において地域懇談会を開催し、地域福祉活動に関わる方々が活動の意義や目的を確認しつつ、これからを話し合う場としてすすめてきました。(地域懇談会の内容については、令和6年8月号(2・3面)・9月号(2・3面)で掲載しています)
 これまで、各地域で話し合いの場を設けてきましたが、今回は地域を超えて他地域の活動者とも話し合える機会として、「東住吉区集いの場づくりを考える会」を開催しました。高齢者食事サービスやふれあい喫茶などの地域活動者を中心に、各地域の地区社協会長や地域連合振興町会会長、地域活動協議会会長へ参加を呼びかけ、開催した当日の様子を紹介します。

▲区内全14地域の地域活動者等へ呼びかけ開催

 

活動者同士で集いの場づくりを考える
 令和7年7月4日午後1時~3時30分に、東住吉区民ホールで「東住吉区集いの場づくりを考える会~高齢者食事サービス・ふれあい喫茶編~」を開催し、120人を超える参加がありました。
 当日は、地域福祉活動の重要性についての講話や活動の現状課題についての事例報告、グループでの情報交換をおこない、これからの活動のヒントを得たり、他地域の取組みや工夫点、困りごとを共有することができるなど、相互に刺激し合える機会となりました。
集いの場の強み
 第1部では、令和5~6年度のふりかえりとして、区社協の荻野和代地域支援担当係長から、令和5~6年度に各地域で開催した地域懇親会のふりかえりについて報告した後、大阪成蹊短期大学の鈴木大介先生からの講話、北田辺地域と鷹合地域から事例報告がありました。
 講話で鈴木先生は、集いの場のいいところとして、「たくさんの人と出会い、交流でき、悩みを共有することで、支え合いの輪が広がります。日頃の生活の中でも交流が生まれ、孤立感が軽減されることから、孤独・孤立、閉じこもり防止にもつながります。また、潜在的なニーズを掘り起こす場として、交流して関係性ができると、日頃の心配ごと、悩みを聞ける機会となり、地域福祉課題の発見につながります。掘り起こした課題の解決に向けて関係者・関係機関と協力することで、地域の福祉力の向上につながります」と話しました。
 続けて鈴木先生は、「集いの場を運営するうえで気をつけることとして、つながりを強要しないことも重要です。交流しなくてもその場にずっといられることも集いの場の条件です。そして、これからの『集いの場』に向けては、関わる人を増やしていく必要があります。増やしていくためには、まずは活動を知ってもらい、足を運んで踏み入れてもらい、『有意義な』時間を過ごせて、『また来たいな』と思ってもらえる、このステップを踏んでいくことが大事です」と述べました。

▲鈴木先生から集いの場の魅力について講話

 

新たな活動者及び参加者の拡大
 事例報告では、2地域からそれぞれの取組みの工夫点や課題についての実践報告がありました。
 鷹合地域ふれあい喫茶で活動している中元幸子さん、林ひろみさん、松永智代さんから、「5回行くと1杯無料となる『お楽しみ券』や、座席配置はカウンター席をつくって1人でもゆっくりと過ごせるなどの工夫をしています。オーソドックスなメニューからコーヒーフロートやメロンクリームソーダなど幅広く用意しています」と述べました。
 また、3人から、「課題として、女性部の限られたメンバーだけでは厳しく、人手不足になっていることや、若い方が地域活動にもっと参加してほしいなどがありましたので、チラシを作成したり、活動者から『ボランティアしませんか?』と口コミで呼びかけたことで、新たなボランティアが15人増え、参加者も増えています。新しいボランティアの方が負担に感じないよう、活動終了後にはふりかえり会を設け、活動の中での困りごとを聞くなど、全員が楽しめる活動となるよう、試行錯誤しながら取り組んでいます」と話しました。
 
住民の得意を活かせる居場所に
 次に、北田辺地域の岡野美保子さん、服部照子さん、内山怜子さんから、高齢者食事サービスにおける実践報告がありました。「コロナ禍の影響を受け、テイクアウトの時もありましたが、令和6年4月から会館での会食に戻し、現在約70人の参加があります。活動者は40~80代と幅広い年代で活動しています。私たちの地域では、みんなの得意・趣味・思いを活かしたいと考えて取り組んでいます」と話しました。
 続けて3人から、具体的な取組み内容として、「折り紙が得意な方から参加者へプレゼントしたり、絵を描くことが得意な方にはメニュー表のお品書きや季節の水彩画を描いていただいています。また、エレクトーンが得意な町会長が演奏したり、カラオケが得意な方がいたので先導して季節の歌を参加者と一緒に歌ったりしています。活動者との会話を楽しみに参加される方もおり、“食べる”だけではない、いろんな方の居場所になるように工夫しています」と語りました。
活動者同士が語り合いつながる機会に
 第2部では、「いいなと思ったこと、地域で取り組んでみたいこと」「自分の地域での取組みにおいて、工夫している点、予想外にうまくいった点」と2テーマでグループワークをおこないました。各グループで自己紹介した後、情報共有し、「働き世代は仕事で忙しいため、関わってもらうことがなかなか難しく、どのようにアタックしていけばいいか」「私の地域では、季節を感じられるもの(お菓子やお花など)を準備し、目で見ても楽しめるようにしているよ」「男性の参加者が少ないため、参加しやすいテーマ設定をしている」などの意見が出ていました。

▲グループワークで他地域と情報交換し、取組みの工夫や課題を共有しました

 

他地域と情報交換することで新しい視点に
 グループワークの各班の発表では、「現在活動している方の娘さんから広げ、地域活動に40代や50代の若い世代が担っている地域がありました。その地域が大事にしていることとして、まずは活動者が楽しく活動していると、何か楽しそうだから私も参加してみようかなと思ってもらえると聞いて勉強になりました」「普段からいろいろな方とつながっておき、タイミングを見計らって担い手へとつなげる戦略をとっていることを聞いて、参考になりました」「役員は75歳の定年制を設けている地域があり、若い方にとっては次の準備をしやすくなっていると工夫を聞けてよかったです」といったことなど共有されました。
 地域活動者同士が語り合ってつながることで、地域活動全体の機運の高まりや支え合い、助け合いの輪が広がり、福祉のまちづくりにつながる機会となりました。
※本記事は、広報誌「大阪の社会福祉」令和7年9月号掲載記事に基づき作成しています。
お問い合せ:大阪市東住吉区社会福祉協議会