2020.12.28
【連載】コロナの中で③弱っている人を真っ先にーなんでも相談役を引き受けるー
※本記事は大阪市社会福祉協議会ホームページの過去の掲載記事を転載しています。情報は記事掲載時点のものであること、また、リンク設定が一部無効となっている場合があることをご了承ください。
このコーナーでは新型コロナウイルスの影響下において地域福祉に関わるさまざまな「人」に焦点を当てて、インタビューを通して、その人ならではのストーリーや思いに迫ります。
弱っている人を真っ先にーなんでも相談役を引き受けるー 高齢者の多い地域を居場所づくりで明るく 引っ越してきた当初「高齢化率が高く、少しさみしいところだな」と感じた松下さんにとって、高齢者に対する相談業務や居場所づくりは、まちを明るくできるという意味でもやりがいのある活動でした。 年々、松下さんの活動の幅は広がり、現在、東田辺会館を拠点に、ふれあい喫茶、食事サービス、なかよし食堂(こども食堂)、親子サロン、健康づくり教室、だいじょうぶネット(認知症の人の介護家族の会)など、数多くの事業に携わっています。 コロナ禍だからできることがある 緊急事態宣言が解除された5月下旬、会館には、外出できず弱っていく高齢者や、家に閉じこもり子育てに疲れた母親の情報が次々と入ってきます。自粛生活も限界、待ったなしでした。松下さんは事業再開の形をひたすら考え、相談し、何度も町会長会議で意見を求めました。 いち早く6月から再開したのが、だいじょうぶネットです。「認知症の方を介護する人の精神的なサポートは必須。重くて先の見えない介護の不安やストレスで命の危険も…」という危機感からでした。 その後、感染リスクに配慮しながら他の活動も7月から徐々に再開。松下さんは弱っている人に対し真っ先に手を差し伸べます。健康づくり教室は、年配者から順に声をかけました。高齢者宅への訪問活動でも、町会長とともに心配な人をピックアップして訪問し、区社協が準備したマスクとタオルのセットを渡しました。町会長の訪問はサプライズだったようで「町会長さんがわざわざ来てくれたと、ひどく感激されました」と話します。 お茶と昼食を提供していたふれあい喫茶はランチ限定の予約制に、食事サービスは市・区社協の外出自粛高齢者・障がい者等見守り支援事業による配食弁当を利用して「持ち帰り」「会食」の選択性に。なかよし食堂は開かず、食品や寄附で購入したお菓子などの中から好きなものを持って帰ってもらうなど、居場所の特性に合わせて「3密」を避けました。今後は、コロナ感染状況をみながら、なかよし食堂を再開するか思案中です。 困りごとも、楽しい企画も 健康づくり教室などで松下さんを勇気づけるのは、20年来の付き合いになる80~90歳代の女性3人組がまだまだ元気なことです。「どこにでも顔を出されるし、『松下さんに言われたから』とコロナ禍であっても散歩を欠かされません。言った本人は、さぼっているので焦りますね…」 松下さんは、励まし、励まされる関係が実感できるこの地域とともに、成長しながら歳をとると決めています。 本記事は、「大阪の社会福祉」第787号(令和2年12月発行)の掲載記事をもとに作成しています。 (担当:地域福祉課) |