2025.12.05

取組みのぞき見 社会福祉施設の地域における公益的な取組みをご紹介 ⑥

いざという時の心のお守りに
 東淀川区内にあるメゾンリベルテ(以下、リベルテ)は、社会福祉法人大阪自彊館が運営する高齢者施設や障がい者施設などが併設された複合福祉施設です。リベルテでは、さまざまな地域の実情に応じた地域支援事業をおこなっています。その一つに東淀川区ライフステーション事業を平成27年から受託しており、高齢の方や障がいのある方など、何らかの支援を必要とされる方が住み慣れた地域でいつまでも安心して生活できる仕組みづくりに取り組んでいます。
 今回は、東淀川区ライフステーション事業の取組みの一つである見守りキーホルダー事業と9月30日に見守りキーホルダーに関するイベントを開催した当日の様子を紹介します。

▲事業周知用チラシ

登録者同士がつながり、楽しめる場をつくりたい
 見守りキーホルダー事業は、氏名や緊急連絡先を登録し、登録番号のついたキーホルダーを携帯することで、外出先で倒れるなどの救急搬送や自宅に戻れず保護された際に、速やかに身元確認ができる事業です。現在、登録者数は700人を超えており、いざという時のお守りとして登録する方が多いそうです。
 また、見守りキーホルダーの登録者が交流できるイベントとして、リベルテに併設された東淡路地域交流センターを会場に、お茶会を開催しています。
 このイベントは、これまで年に1回、登録者のお誕生日月に登録情報等の変更がないかの電話連絡をしていましたが、「10年前に登録した方がいるなかで、孤立対策として独居高齢者や登録者同士のつながりづくりにつながるような交流できる場が必要ではないか」と事業所内で話し合い、令和6年10月から開催しています。
 取材当日は、取り組み始めてから4回目となるお茶会を開催され、58人の登録者が参加していました。お茶を飲みながら、手指を使ったレクリエーションや秋を感じるジグソーパズル、東淀川区社協の地域福祉コーディネーターが考えた頭の体操などの催しが続き、最後は全員で秋にちなんだ歌を合唱しました。始まってから終わりまで、笑顔が絶えず、参加した全員でワイワイ楽しみました。そして、今回のお茶会では、登録者の中から運営や企画に協力するサポーターに応募した14人も一緒に運営に携わりました。

▲全員でもみじを合唱して秋の訪れを感じました

取組みのポイント
☑施設と地域が協力し、ともにどのような場がいいか考える。
☑最後まで満足できるようなプログラムを心がける
☑同じ不安を抱える登録者同士がつながることで顔見知りの輪が広がる
社会福祉法人 大阪自彊館 メゾンリベルテ(複合福祉施設)〒533-0023大阪府大阪市東淀川区東淡路1丁目4-49
【取材担当者のコメント】(福祉部:門脇)
 今回取材した社会福祉法人大阪自彊館は西成区を中心に祖業である生活困窮者支援に加え、高齢者支援・障がい者支援にも取り組んでいます。また、すまいる食堂(子ども食堂)やあいりん地域夜間巡回、居住支援事業、緊急一時避難事業、過疎地域の独居老人宅の見守り訪問などの地域貢献活動にも注力されています。
 今回、取材した取組みは、東淀川区に位置するメゾンリベルテ(複合福祉施設)が受託している東淀川区ライフステーション事業の取組みの一つである見守りキーホルダー事業の登録者を対象としたお茶会です。メゾン リベルテは、高齢者や障がい者を対象とした支援を行っており、施設内での支援に加えて、在宅生活を送る方への支援も積極的に行っています。
 このお茶会が始まったきっかけは、元々登録者が集う機会はなく、施設側のつながりも年に1回の電話連絡であったなかで区内の高齢者の孤独・孤立や夏場の熱中症、独居高齢者の増加などの課題が地域のなかにあるのではないかと話が出たことがきっかけでした。また、高齢者の相談支援をするなかで、もっと早く相談に来てもらえたら、早く関わっていたらというケースも多いが、施設と登録者のつながりの希薄さが課題としてあげられていました。700人の登録者がいますが、互いにキーホルダーを身につけてないと登録者なのかどうかわからず、登録者同士のつながりも築けてなかったそうです。
 そこで同じ不安や気持ちを抱える登録者同士なら共通の話題をきっかけに新たなつながりが生まれるのではないかと令和6年10月にお茶会を始めました。第1回は「なぜこの事業に登録をしたのか」をテーマにアンケート調査をおこない、回答から登録に至った理由や背景を知ることができました。
 その後、回を重ねるごとに施設職員だけでは負担が大きいことがわかり、登録者の中から協力してもらえるサポーターを募集しました。いまでは15のサポーターが周知活動や買い出し、当日の運営などに協力をいただいてます。ただ、サポーターにも得意不得意があるため、サポーターと話し合いを重ねながら、それぞれができる範囲でサポートを行い、みんなで一緒にお茶会を作りあげています。
 運営メンバーの柴島地域総合相談窓口べラミの生活相談員の髙橋加容さんは「お茶会への参加者が少ない地域が見えてきたため、今後は一拠点だけではなく分散して開催できないかと考えています。地域の集会場などで開催できれば、住宅内の方も参加しやすくなる、つながりの輪がさらに広がるのでと思っています。今は施設のある区内南西部の参加者が中心です。チラシを見かけた人が「この地域でもしてほしい」「遠くていけない」といった声も届いています。社会福祉法人として義務だからやっているのではなく、やりたいから、楽しいから続けられていて、私たちも参加者から元気をいただいています」と話しました。

▲サポーターと福祉職の懇親会の様子

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