2025.05.16

活動者の広げ方のススメ7 自由度高く、入りやすい雰囲気づくり

 新たな担い手の発掘をめざして、市内各区・地域の工夫をこらした取組みを紹介しています。(「活動者の広げ方のススメ1~6」は令和6年1~4、7、11月号に掲載)

▲活動者の方々(金本さん:前列左から2番目、上之薗さん:前列右から2番目、三宅さん:後列左から2番目)

 今回は、令和6年12月5日に東淀川区 井高野 いたかの 地域での高齢者食事サービスの現場を訪問し、食事サービス委員長の金本佳子さん、ボランティアの上之薗うえのその 茂子さん、三宅順子さんに活動するうえで大切にしていることや活動者を集める工夫点などをお聞きしました。
 井高野地域は、吹田市・摂津市と隣接する大阪市最北端の地域です。高齢者食事サービス(以下、食事サービス)は、毎月第1木曜日午前11時から午後2時の間、1時間ごとに交代の3部制で実施しています。元々は毎月2回実施していましたが、コロナ禍を機に変更しました。参加者は、登録制ではなく毎月申込み制とし、ふれあい喫茶などの別の活動時に申込みを受け付けています。
 提供する食事は手作りで、実施前日に仕込みをしています。これはコロナ禍でも変えておらず、全員で話し合うなかで温かいご飯を提供したいという思いが一致したことから、感染症対策をして手作りで、会食の形を継続しています。
温かいご飯を届けたい
 井高野地域では、毎回約60人程度の高齢者が参加し、食事を通して、地域活動者や参加者同士でつながりをつくり、コミュニケーションをとる場になっています。食事は手作りのため、メニュー作成や買い出し、当日の準備、洗い物など大変なこともありますが、「手作りだからご飯も気持ちも温かく、美味しい」との声もあり、継続につながっています。
 また、活動者としては40人以上の登録があり、普段、家では作ったことがなかった料理を作る機会もあり、レパートリーが増えたり、一緒に活動している仲間から知らなかった料理知識を聞くことができたりと、活動を通してプラスになっていることがあるとのことです。

▲談笑しながら、食事を楽しみました

 

活動をするうえで大切にしていること
 食事サービス委員長の金本さんは、「3カ月に1回程度で担当が回ってくる1年間のシフト表を作成しています。『1回でもいいから無理なく活動してほしい』と伝えています。毎回活動している方もおられ、活動者は多くいるため、体調不良等での当日欠席にも対応できます。人が少ないから行かなければとなると、それが負担につながるため、言いやすい雰囲気を意識しています」と話します。
 また、活動者を増やす工夫として「知っている方への声かけとともに、活動者を町会別に整理した名簿を作成し、地域での会議の際に、会長等へ『〇〇町会の活動者が少ないため、声かけしてほしい』とお願いしています」と話しました。
 
広がりと継続に向けて
 現在の課題として、上之薗さんは、「一般的に、参加者は登録制が多いですが、そうしてしまうと、毎月参加が前提となってしまうので、気軽に参加できる現在の毎月申込み制をとっています。ただ、申込みに行けない方や申込者の重複もあったりするので、申込方法や周知等のよい方法を考えていきたいです」と話しました。
 三宅さんは、活動の継承に向けた工夫として、「普段は家族分しか作ったことがない方がほとんどで、食事サービス参加者数を作るとなると、分量・味付けも変わります。そのため、新しい方には、まず料理しているところを見てもらいながら覚えてもらっています。また、各回に提供した食事を写真に記録し、どのくらいの材料、調味料が必要だったか等の資料も作成しています」と述べました。

▲令和6年12月5日は酢豚、高野豆腐の卵とじ、もやしのお浸し、みそ汁

活動者を広げていくためのポイント
✔参加の自由度が高くなるよう「1回でも参加できる時でいいから」と伝え、また、当日欠席も言いやすいようにする。
✔活動者が少ない地域に、町会長等からの声かけを依頼する。
✔作り方を記録した資料を作成し、資料を見つつ、実際のやり方を見てもらうことで、継承しやすくする。
本記事は、広報誌「大阪の社会福祉」令和7年2月号掲載記事に基づき作成しています。
お問い合せ:大阪市東淀川区社会福祉協議会