• 11住み続けられるまちづくりを

2024.06.04

活動者の広げ方のススメ4 未来の担い手育成に向けて

 

地域福祉活動は、地域住民のつながり・いきがいづくりに寄与していますが、活動者の高齢化や減少により、活動の継続に不安を感じている地域や団体も多くあります。本記事では、新たな担い手発掘をめざして工夫をこらした取組みを紹介します。
 
オリジナルDVDを使った小学校での取組み
 今回は天王寺区桃陽とうよう地域で地区社協や連合振興町会、地域活動協議会などの会長を務める服部多嘉男はっとりたかおさん、民生委員・児童委員で桃陽地区委員長の田中孝子たなかたかこさんに、地域で作成したオリジナルDVDや小学校と連携した取組みについてお聞きしました!

▲服部会長(左)、田中委員長(右)

Q.桃陽地域での具体的な取組みについて教えてください。
➡服部さん 
桃陽地域の活動を知ってもらおうと、平成31年にオリジナルDVDを作成し、お披露目会をしていこうと思っていた矢先にコロナ禍になってしまいました。町内会では見てもらえましたが、その後どう広めていこうか悩んでいた時に、桃陽小学校のPTAの方を通じて、PTAの方々と校長先生にDVDを見ていただいたところ、授業で地域を学ぶ機会にしたらいいのではないかと話がすすみました。
未来の担い手育成に向けて、令和5年11月に6年生(3クラス)の国語の時間に、「自分たちが思い描く桃陽地域」と題した授業をおこないました。当日は区社協職員、地域活動者が出向き、DVDを見た後に地域活動者から桃陽地域での活動や課題について詳しく説明がありました。その後、小学生たちが自分たちで他都市の地域活動の取組みを調べて自分たちの地域でどのような取組みをする必要があるかについての発表がありました。発表では、地域清掃で交流する「ゴミ拾い大会」や、地域のよいところの写真を撮って発表する「フォト大会」など発想豊かなアイデアがたくさんありました。
 
Q.当日はどのようなやりとりがありましたか。
田中さん 
「会長までどうやってのぼりつめたのか」「お給料はいくらもらっているのか」などおもしろい質問があり、こどものころから地域活動について知ってもらう必要性を感じました。
小学生から提案してもらったことをできる限り取り入れようと、2月の桃陽地域別ケア会議(※)に校長先生と担任の先生にもお越しいただき、「こどもたちと一緒に地域で何ができるか」と題し、小学生から出たアイデアをもとに、桃陽地域でどのように実現できるか意見交換しました。
※桃陽地域別ケア会議とは・・・2カ月に1回、地域の役員、民生委員・児童委員、区社協、地域包括支援センター、区役所などが集まり、地域の課題などから地域活動を考える会議
 
Q.地域で活動をするうえで大切にしていることはありますか。
➡服部さん 
積極的に行動するようにしています。大学とつながり、学生ボランティアに協力してもらって実施している活動もあります。また参加したいと思ってもらえるよう活動者自身が楽しめる雰囲気をつくっています。
➡田中さん 
参加できる時に参加してもらい、居心地がいいようにすることを大切にしています。私たちの地域では、参加した方が楽しかったことを話すからか、休んだ方が残念がっています。
 
Q.今後の展望について教えてください。
➡服部さん 
桃陽地域別ケア会議で「せっかく小学生がアイデアを考えてくれたので、一緒に実現したい」「いろいろとアイデアを考えてくれたので、実現できるよう企画やふれあいまつりの模擬店をこどもたちに任せて、大人が裏方でサポートする」という意見が出て盛りあがったので、こどもたちとつながりながら、親世代ともつながり、また大学生などとも連携しながら、一緒に地域活動に取り組んでいきたいと思います。
➡田中さん 
今以上に楽しんで活動していきたいです。マンションが増えているので、マンションに住んでいる方ともつながって、桃陽地域で暮らしている方々から「桃陽地域に住んでいてよかった」と思ってもらえるよう私たち自身も活動も日々進化していきたいと思います。
活動を広げていくためのポイント
 
1 未来の担い手を育成するため、こどもたちとつながる
・こどもたちが地域活動について知る機会をつくる
・小中学生などにイベントの企画や運営に入ってもらい、大人が裏方でサポートしながら、地域活動に関わってもらう
・こどもたちと顔の見える関係性をつくって、自分たちが大人になった時に地域活動を担いたいと思ってもらえるようにする
2 楽しい雰囲気をつくって居心地がよく、参加したいと思ってもらえるように
・当番表などはつくらず、参加できる時に参加できるスタイルでおこなう
・参加者に楽しんでもらうことで、口コミで誘い合って、参加者増加につなげる
※本記事は、広報誌「大阪の社会福祉」令和6年4月号掲載記事に基づき作成しています。
お問合せ先:天王寺区社会福祉協議会