2020.05.01

「集まれなくてもつながる方法」-今できること・これからのこと-


※本記事は大阪市社会福祉協議会ホームページの過去の掲載記事を転載しています。情報は記事掲載時点のものであること、また、リンク設定が一部無効となっている場合があることをご了承ください。

新型コロナウイルス感染症が広がり続ける中、地域福祉活動の中止が相次ぎ、活動者の方々は、戸惑いや葛藤、一方で自身の健康や暮らしにも不安を覚えながら、複雑な気持ちの中で過ごしているのではないでしょうか。

そうした状況にあっても、つながりが途切れることなく、お互いの暮らしを気にかけ合い、見守ることができる一助となるよう、さまざまな活動に関わる方に向けて「集まれなくてもつながる方法」を紹介します。

▲この記事は上記冊子の内容を要約しています。全文(PDFデータ)はこちらから

これから紹介する内容は決して対面でのやりとりに勝るものではなく、「こうすればすべてうまくいく」というものもありません。ジレンマを感じることも多いと思いますが、今できること、そして今後に向けて必要なことを、無理のないタイミングで、できることから考えていきましょう。


■ まずは自分の暮らしを第一に
今回の事態は誰もが当事者であり、感染のリスクや、自分が広げてしまう側になるかもしれないという不安を感じていることでしょう。
活動者の方も、まずは一人の生活者として、自分や家族の暮らしを第一に、健康管理や感染防止に十分留意しながら、決して無理しないことを原則にしましょう。
「集まれなくてもつながる方法」は4項目にまとめていますが、複数を組み合わせたり、相手・場面によって使い分けたりすることでより可能性が広がります。
活動者から参加者へのアプローチに、また活動者同士のコミュニケーションを続けるために、できそうなこと・使えることからぜひお試しください。


◆◆◆ 集まれなくてもつながるための4つの方法 ◆◆◆

① 電話でつながろう
●これまで活動に参加していた方の安否確認や、メンバー間のコミュニケーションのために、日頃から使い慣れている電話は有効です。閉じこもりがちな生活の中で「誰かが気にかけてくれている」「つながっている」という気持ちが芽生えます。
●特にこれまで活動を通して、気にかけていた人(一人暮らしの人など)についての情報を改めて整理して、個別に連絡することは、お互いの安心感や、何かあったときにSOSを出せる関係につながるでしょう。

② 手紙・届けものでつながろう
●活動団体に関するおたより(ニュースレター)、会えなくなっている参加者へのメッセージカードをつくる動きもあります。相談窓口の情報や衛生物品などを組み合わせて配付することも考えられます。
●郵送するほか、戸別にポスティングすることもできます。玄関先や家の様子から暮らしぶりをうかがったり、インターホン越しに一言交わすこともできるでしょう。また、返信用ハガキを使って近況を確認することも考えられます。

③ オンラインでつながろう
●ICTツールを使うことで、会わずしてできるコミュニケーションの幅が広がります。メールやLINE(無料メッセージアプリ)は多くの人になじみがありますが、あらためてメンバー間でのコミュニケーションツールとして使い方を見直したり、工夫次第では見守りのツールになるかもしれません。
●さまざまな会議が開催しづらい中で、無料で使えるオンライン会議用アプリ(Zoom、Skypeなど)も注目されています。関係団体間でのネットワークづくりなどで活用できる可能性があります。

④ うちでできることをシェアしよう
●閉じこもりがちな生活の中で、身体機能が低下したり、気持ちが沈んだりする人が増えることも懸念されます。そのような中、集いの場に参加していた高齢者に向けて、家でできる体操や脳トレを掲載したプリントなどを配付する動きもあります。
●子育ての分野では、休校・休園中のこどもたちが家でできる遊びを紹介したり、Webアンケートなどを活用して各家庭での悩みや工夫を集めて、共有することも考えられるでしょう。
●このように各自が家でできることについて、上記①②③と組み合わせながら、対象者が受け取りやすく、こちらも過度の負担にならない形でのシェアを考えましょう。周知ツールをつくったり、みんなの声やアイデアを集めるプロセスそのものが、コミュニケーションをとるためのきっかけになるかもしれません。

▲自宅でできるストレッチや日記をつけられるプリントを作成(城東区社協)


◆◆◆ 訪問の際に気をつけるポイント ◆◆◆

この状況の中でも、高齢者への配食を継続したり、会食やこども食堂を配達型に柔軟に切り替えて対応する動きも見られます。このように、対象者の生活状況や、感染症の動向を見ながら・予防策に留意しながら、「訪問」を取り入れる場合のポイントもあわせてご確認ください。

▲ 訪問時の参考に(大阪市福祉局高齢福祉課による作成チラシの一部)

≪参考≫大阪市福祉局高齢福祉課の関連ページはこちらから


■ 活動再開のイメージを考えてみる
この感染症がいつ終息するのかはわかりませんが、状況が落ち着いてきたら段階的に、3つの密(密閉、密集、密接)をつくらないように気をつけて少人数で顔を合わせることや、屋外での活動(例:公園での体操、会館近くの広場での居場所活動など)などが取り入れやすくなるかもしれません。
人が集まる活動について、いざ再開するときには何が必要か、例えば、体調・体温チェック、手洗いの徹底、消毒、換気、会場レイアウトの工夫など、気をつけておく点を想定しておくこともできます。人数規模や実施場所・方法について見直すことで、感染リスクを下げることもできるでしょう。


■ つながり方の選択肢を増やすチャンスに

視点を変えると、この感染症以外にも、物理的な距離があるとき、時間が合わないとき、災害時など、「集まれない状況」は起こり得ます。また、身体状況により集まりの場に出向けない、あるいは家庭の事情で家を離れられないなど、「集まりづらい人」もいます。
このピンチを少しでも前向きに捉えるとすれば、ここで紹介した方法は、実は「日頃からの集まれない状況や、集まりづらい人のための選択肢を増やす可能性がある」と考えることもできます。
例えば、居場所の参加者のうち特に気になる人の連絡先を整理しておくことで災害時・緊急時の安否確認がしやすくなること、また、会議にオンラインでも参加できるようにすることで直接出向くことができなくても意見を言える人が増えることなどが期待できます。
このような試みを取り入れることで、長い目で見たときに、人と人とのつながりが弱まるのではなく、今までの集まり方に新たな要素──例えば、気になる人への見守り、ちょっとした困りごとへの助け合い、災害時の対策、さまざまな場にアクセスしづらい人の社会参加──が付け加えられたり、より充実できる契機となれば幸いです。
大変な状況ではありますが、また笑顔で集まることができる日まで、さまざまな“アイデア”や“チャレンジ”を共有しながら、つながりづくりの新たな一歩を創っていきましょう。


*この記事は、広報誌「大阪の社会福祉」780号(令和2年5月発行)掲載内容に基づき作成しています。令和2年4月28日時点での情報をもとに編集しているため、今後、感染症に関する状況推移により、その時々の判断が必要になることが想定されます。


(担当:地域福祉課)