2023.05.25

「取組みのぞき見」第1弾!(社会福祉法人柿の木福祉の園/四つ葉)

広報誌「大阪の社会福祉」の新コーナー「取組みのぞき見」(社会福祉施設の地域における公益的な取組みのご紹介)について、令和5年5月号の広報誌掲載内容に加え、取材担当者のコメントを紹介します。

いつでもだれでもおいで!「ただいま」があふれるこどもたちの居場所

▲こども食堂の様子

社会福祉法人柿の木福祉の園(長居保育園)では令和4年からこどもたちの地域の居場所「四つ葉」を立ち上げました。

こども食堂やさまざまな職業の方からお話を聞く学びの会や課外活動などイベントを月2、3回おこなっています。コロナ禍での休校後も学校に行けなくなったこどもの存在を知り、日中に受け入れたことから始まった活動です。NPO法人大阪市地域福祉施設協議会(大地協)の活動からも刺激を受け、卒園生のみではなく、地域や年齢なども幅広く受け入れています。

▲大地協主催のプチ運動会に参加。童心に帰って全力で遊べる場所

今後は小学校・中学校との連携を深めながら、保護者とのつながりづくりなども広げていきたいと考えます。

キーワード
✔場所さえあればこどもたちは力を発揮できる
✔なにかあってもここにくればどうにかなる
✔何もしなくていい 自分らしく過ごせる場所

社会福祉法人 柿の木福祉の園

大阪市住吉区長居東4-11-16 TEL:06-6691-3669

 

【取材担当者のコメント】(地域福祉課 門脇・馬場)

こんな楽しいご飯はじめて

今回、お話を伺ったのは同法人で、学童保育の支援員を担当する川畑亮輔さん。地域の居場所活動「四つ葉」は、長居保育園がコロナ禍に開催したイベントにて、同保育園にかつて通っていた小中学生がコロナ禍での休校をきっかけに学校に行けなくなってしまったことを知り、日中の居場所として受入れを始めたと伺いました。当初は日中の居場所がない卒業生たちの受入れとして、開始しましたが、取り組むなかで「園の卒業生だけではなく地域にも居場所を必要としているこどもたちはたくさんいるのでは?」と考え、取組みを地域に広げていきたいという思いで、地域でイベントの開催、区民祭りに出店するなど地域での取組みもされてます。全国的な一斉休校による交友関係を築くことの難しさに加え、つながりが途絶えてしまったなかでの再登校や生活習慣の乱れなど、さまざまな事情により学校が再開しても通うことが難しく、不登校になったこどもやそのことを不安に感じる親御さんへの支援は必要とされています。その中で、学校への再登校を目的としている場ではなく、自由に行き来できる居場所の存在は非常に大きい印象を受けました。卒業生を招いたお泊まり会では、夜ご飯のときに「こんな楽しいごはんはじめて」という声を聞けたと伺い、こどもたちのなかで「四つ葉」でのひと時は心が落ち着く楽しい場であることを知ることができました。

年齢や地域にとらわれない

また、年齢や地域にとらわれずだれでも参加でき、経済的理由で通えなくなるこどもを減らしたい思いで利用料や登録料を設定していないと伺いました。こどもの「第3の居場所」が必要とされてきたなかで、活動を継続するためには、利用に関する登録の有無や利用料は必要ではありますが、通えなくなってしまう要因になることもあります。いつでもだれでも通える居場所にしたいという思いが、こどもたちにも伝わり、卒園してもつながりあえる関係性になっているのだと感じました。高校生や大学生になってもイベントや学習支援のボランティアとして参加してくれる方が多く、なかには東京から毎回来ている方もいると聞き驚きました。

見えにくいものをどう見ていくか

これからは親御さんの悩みや不安に対する相談対応や、さらなる学校との連携をめざし、活動していきたいと伺いました。不登校のこどもの情報はプライバシーの点で連携の難しさを感じていますが、「見えにくいものをどう見ていくか」という思いで、他にも不登校に悩まれるこどもを支えたいという思いが強く伝わってきました。特に印象に残っているのが、川畑さんの『なんかあったらここ来たらどうにかしてくれるやろと思ってほしい』という言葉で、現在は朝から来ているこどもはいないなかでも開放しておくことで、何かあればいつでも足を運ぶことのできる「第3の居場所」となりつつあると思いました。学習支援や地域でのイベントにこども同士で声を掛け合い参加したり、園の卒業生ではないこどもも参加しているなど、当初は活動の広がりに悩みを抱えられていたとは想像もできないくらい魅力あふれる温かい活動でした。

(担当:地域福祉課)