2026.08.05
<阿倍野区> ー「困った時はお互いさま」の心で地域を紡いで31年 ー 交流してお互いを知り次へつながる関係づくり
| 現在は、昔ながらの長屋と若い世代が多く住む新築分譲マンションの二つのコミュニティが存在する阿倍野で31年間、住民同士の助け合い活動や居場所づくりを続けてきた特定非営利活動法人エフ・エー(以下、エフ・エー)理事長の長福洋子さん。長年地域福祉の現場に立ち続け、介護事業や社会教育事業、サロン事業等、幅広く関わってきました。 |
| エフ・エーの活動の原点は、女性が中心となった住民同士の助け合いの活動です。子育てが一段落し、自分たちの老後の心配や親の介護の必要性を感じたことから始まった活動です。 |
| 今回は、長福さんにこれまでの歩みと、居場所づくりに込めた思い、地域で活動している方やこれから何かを始めたいと考えている方へのメッセージなどをインタビューしました。
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| ー地域の社会資源を一つでも増やしたかった |
| 長福さんが活動を始めたきっかけを教えてください。 |
| 長福 もともとは病院で医療ソーシャルワーカーとして働いていました。退院後の生活に不安を抱える患者さんを目の当たりにしながら、当時の医療現場では地域との連携がまだ一般的ではなく、十分なサポートができないことに強いジレンマを感じていたんです。結婚して退職した後もその思いが消えず、「サポートがないなら、自分たちでつくるしかない」と一念発起しました。私の根底にあったのは、「地域の社会資源を一つでも増やしたい」という願いでした。 |
| 当時、さわやか福祉財団の堀田力さんが提唱されていた「住民同士が互いの時間を大切にしながら支え合う」といった理念に強く共感し、子育てを終えた40歳代の主婦を中心に平成7年から活動を始めました。あえて有償ボランティア活動を選択したのは、「たすける側・たすけられる側」という固定された関係ではなく、対等な「お互いさま」の関係を築きたかったからです。
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| エフ・エーの活動内容は多岐に渡っていますね。 |
| 長福 有償ボランティア活動や地域の交流スペースの運営のほか、居場所ネットワーク大阪(旧:大阪宅老所・グループハウス連絡会)の事務局なども引き受けてきました。こうした地域のネットワークづくりやコーディネートについても「地域のつながりづくりの大切さを周りにもわかってほしい」というその一心で走り回ってきました。地域社会で動き回ることによって、少しでもよりよい地域にしたかったんです。地域のなかに助け合いの選択肢が増えることが大切だと考えていました。ボランティアグループやNPO、町会や学校、PTA、そして企業など、多様な主体が手を取り合えるよう、「連携」のためのコーディネートに走り回る毎日でした。 |
| 現在、介護保険事業や訪問介護事業、有償ボランティア活動は担い手不足のため終了していますが、社会教育事業や個人家庭の清掃サービス事業、居場所ネットワーク大阪の事務局、平成19年に阿倍野区の王子商店街の一角にオープンした「エフ・エーさろん」の活動を継続しています。「エフ・エーさろん」は、誰でも気軽に立ち寄って、おしゃべりや休憩ができる「地域の茶の間」のような憩いの場所です。一杯150円の飲み物代を運営への協力費としていただき、日替わりのイベントや講座も開催しています。
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![]() ▲エフ・エーさろん
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| 活動をしているなかで印象に残っていることを教えてください。 |
| 長福 たくさんありますが、なかでも有償ボランティア活動を始めた時ですかね。全国的に少しずつ広がり始めていましたが、大阪市内ではまだほとんど広がっていないなかでの先駆的な活動でしたので、逆風が吹いていましたね。活動の説明に行っても門前払いを受けることもありましたし、有償ボランティア活動はボランティア活動ではないと言われたこともありました。根気よく活動を続けているなかで、一人の大阪市社協の職員の方と出会ったことも大きかったですね。「この活動は地域に必要」と言ってくれて、応援していただけました。
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| 近年求められている居場所の運営をしているなかで、工夫していることはありますか。 |
| 長福 一番は、「型にはめず、色をつけない」ことです。日々の活動のなかで参加者や地域のニーズに合わせて形を変えていけばいいと考えています。「うたごえ喫茶」では、コロナ禍前はハーモニカの伴奏で歌っていましたが、カラオケセットを利用して昔の歌謡曲を中心に歌う形に変更したり、新しい取組みとして、「大人のお話し会」や手芸好きが集まる「糸へん倶楽部」、脳トレの「わいわい塾」などもあります。 |
| 特に男性の参加については、そば打ちや歴史講座、ワイン講座など、明確な「目的」を持てる企画を考えました。男性は必ずしも「つながり」を求めて来るわけではなく、自身の関心があるものにその時だけ参加することも多いのですが、それでいいと思っています。そこでの出会いがきっかけで、次第に「目的がなくても、ふらっと寄ってみようか」という関係に育っていくこともあります。 |
| 必ずしも継続することだけが重要なのではなく、いくつかの入口があることが大切だと思っています。そんな「気軽なつながり」こそが、日常の安心を支えるのだと実感しています。
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![]() ▲「気軽なつながりが日常の安心につながる」と語る長福さん
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| ボランティアとの接し方でも工夫していることはありますか。 |
| 長福 特定の「キーパーソン」に負担が偏ると、その人がいないと回らなくなってしまいます。それを防ぐために、ボランティアの参加回数を分散や調整したり、単発の参加も歓迎しています。毎日開催している利点を活かして、ボランティア自身が来たい日や時間を選べることにすることで、無理なく続けられるようにしています。入口のハードルを下げて、新しい風が入りやすくすることが何より大切だと感じています。
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| 活動を継続するうえで大切にしていることは何でしょうか。 |
| 長福 私が常に心がけているのは、「フラットであること」です。サロンを支えるボランティアの方々も、一住民として自然に場に溶け込み、参加者と対等に交流することを大切にしています。ボランティアのみなさんは、長年の生活のなかで培ってきた知恵を活かし、声のかけ方や関わり方に工夫を凝らしてくださっています。その姿勢が、サロンに訪れる人たちに安心感を与え、誰もが気負わずに過ごせる雰囲気をつくり出していると感じています。
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| 長福さんの今後の展望や地域への思いを教えてください。 |
| 長福 地域には、多様な主体による、多様なタイプの居場所がいくつも必要だと思っています。行政や社協、企業、そして町会や学校など、さまざまな組織が手を取り合って、地域(校区)のなかに多様な居場所が点在し、住民が自分に合った場所を「選択」できる、そんなふうに、みんなの力で地域の社会資源を育てていくことをめざしています。 |
| 今後活動の形を変えても、どうすれば地域とのつながりを維持し続けられるのか、やってみてどうなるのかを模索しながら、地域のニーズに合わせて柔軟に変化し続けることこそがエフ・エーらしさだと思っています。最近では、社協や区役所、企業との連携もより密になり、新しい風が吹いていると感じています。 |
![]() ▲ランチサービス
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| 最後に、地域活動やボランティアに興味がある方へメッセージをお願いします。 |
| 長福 まずは一度、やってみること、始めてみることが大切だと思います。もし、なかなか一歩を踏み出せない人がいたら、「まずは1回参加してみない?」「友だちと一緒にどう?」と、背中を押してくれる存在も必要だと思っています。そして最初の入口のハードルを下げることが、地域での参加を広げる大事なポイントになります。 |
| みなさんもぜひ、自分にできる一歩を気軽に踏み出してください。 |
| ※本記事は、広報誌「大阪の社会福祉」令和8年5月号掲載記事に基づき作成しています。 |

つながる、一歩踏み出す。


