2026.03.11

<生野区>「ひきこもりの理解と支援」講演会

ひきこもりの理解と支援
 生野区社協は、2月24日に区社協を会場として、「ひきこもりの理解と支援」をテーマに講演会を開催しました。

▲30人近くの方の参加があり、ひきこもりの理解と支援について学びました

 講師には、特定非営利活動法人青少年自立支援施設淡路プラッツ(以下、淡路プラッツ)代表の石田貴裕さんを招き、「希望ある未来を共に~親支援・居場所支援の現場から~」と題して、事例を交えての講話がありました。
 淡路プラッツは、34年前にひきこもり・登校拒否状態あるこどもの家族の親の会として発足し、「自立を含む希望ある未来を一緒に創造する」というミッションを掲げて活動しています。現在、ひきこもりやニート、不登校などの課題を抱えるこども・若者とその家族が相談できる窓口として、アウトリーチや社会参加するためにスモールステップで伴走型支援をしています。
石田貴裕さん
淡路プラッツ代表。2006年から淡路プラッツのスタッフとしてひきこもり等のこども・若者支援に関わっている。居場所や訪問、就労実習での若者との関わりを始め、相談や講座、親の会などで保護者との関わりも多い。また、外部セミナー等を通じてひきこもり問題の周知・発信もおこなっている。2012年度から自身の出身地でもある南河内地域にて「南河内プラッツ」の運営・活動もおこなっている。現在、子育てにも奮闘中。キャリアカウンセラー。

 

一人ひとりに合わせたオーダーメイドの関わり
 石田さんは、「活動において、結果としてのゴールは就労支援としていますが、ひきこもり等の支援は、就労支援からスタートしているのではなく、現時点での課題を整理し、確認するための『相談』と安心できる『居場所』が必要です。活動しているなかで、本人が自分から相談に来ることは少ないですし、会いに行っても会ってくれないなどもありますので、いかにしてこども・若者と出会うかを考えています。また、一人ひとりで対応方法が違うため、この人の時は上手くいったけど、この人の時は上手くいかなかったこともあります。その人が能力を発揮できるように、一人ひとりに寄り添うことを大切にしています」と話しました。
 続けて、「居場所では、他者とのコミュニケーションから関わり方を身に着け、『なりたい自分』と『なれない自分』との現実調整をおこないます。また、居場所を通るこども・若者たちが獲得する『3つの曖昧な事』として、『打たれ強さ』『受け流す力』『グレイゾーンを受け入れる力』があります。経験と時間と人との関わりを蓄積するなかで、こども・若者たちのハートをある程度「打たれ強く」し、コケてからどう立ちあがるかに重点を置き、その中での『受け流す力』を自分なりに編み出していきます。そして、0でも100でもない『グレイゾーンを受け入れる力』に取り組み始め、この人のことを『好き・嫌い』の二極化したものではなく、『好きでも嫌いでもない人』として、程よい距離感を持って人と接することができる力を身に着けています」と石田さんは語りました。

▲石田さんから事例を交えての講話があり、学びを深めました

出番と役割を創出する機会づくり
 講義終了後に、質疑応答の時間がありました。質問では、「福祉関係者で20~30代のひきこもりの方と関わることがある。何度も失敗するなか、なりたい自分と現実の自分の現実調整で本人はどこで納得するか?」「打たれた強さや受け流す力などを獲得するためのプロセスを教えてください」「不登校・ひきこもりの方の親への関わりに難しさを感じている。面談ではどのくらいの塩梅か?」などがありました。
 質問事項に対して、石田さんからは、「難しいところかと思いますが、やはり経験を蓄積し、本人が納得することにつなげています。そのため、『出番と役割』を創出するようにしています。その若者のことを理解し、ありのままで活動できるように選択肢を増やすが重要です」「相手を傷つけることを言ったなど、何かあった際には、ミーティングをとるようにしています。なぜそのような言動があったのか、そのことに対して人はどのように思うかを問いています。また、受け流すイメージを持ってもらえるように言い方を一緒に考えていたりもしています。対象者の属性にあわせて可視化し、その人が腑に落ちるようにしています」「月1回必ず面談しています。親には親の言い分がありますし、価値観はなかなか変えることができないです。親は親で、こどもはこどもで困りごとを抱えています。また、周りの家族と比べてしまうこともわかります。親の会に参加していただくと、同じ立場の方が話しているからか、スッと腑に落ちる瞬間があります」などの回答がありました。
 最後に石田さんは、「支援者には関係団体と協力して、現実を動かせる力が求められます。そして、多様な専門性とスキルが必要であり、抱え込まずにリファーするネットワーク力が求められます。自身がどの立場で何ができるか、できないところは関係団体と協力して関わることが大切と思います」と話しました。