2025.11.27
付き添いが安心を生み、地域参加の一歩を後押しする 「おでかけ付き添いボランティア養成講座」
| 生野区社協は、令和7年9月から10月にかけて、「おでかけ付き添いボランティア養成講座」を全4回の連続講座として開催しました。 |
| そのなかでも今回は、9月30日に開催された第3回「地域の会館に行こう!」の様子を紹介します。 |
| ◆地域の声をきっかけに |
| この取組みは、年齢に伴う身体状況の変化や移動手段の減少などにより、一人で外出することに不安を感じている高齢者が安心して地域の集いの場に参加できるよう、地域の会館まで付き添うボランティアを養成するため、企画したものです。 |
| 企画の背景として、令和6年度の第2層協議体※で移動支援をテーマに取りあげ、会館で実施している活動や行事に参加している方を対象に、普段の生活のなかで困っていることをインタビュー形式で聞き取り調査したことがきっかけとなりました。調査を通じて、「地域の活動場所や集いの場に行く際、誰か一緒に行ってくれる人がいたらいいな」「自転車に乗れなくなっても、歩けるうちは自分の足で歩いて行きたい」といった声が寄せられました。これらの意見から、「ちょっとした見守りやお手伝いがあれば、地域の通いの場に参加できる人が増えるのではないか」との課題意識が生まれ、講座の企画につながりました。 |
| ※協議体とは大阪市では、高齢者の方々が住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けることができるよう、それぞれの圏域での状況や課題に合わせて話し合う場として、第1層協議体(区域全体)及び第2層協議体(地域包括支援センターの圏域)を設けています。協議体では、住民、福祉専門職、行政、企業、NPO等が集まり、「あったらいいなと思う支え合いの仕組み」「どのような地域にしていきたいか」などを話し合い、支え合いの仕組みづくりにつなげています。 |
![]() ▲会話を楽しみながら、会館まで付き添い体験
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| ◆参加のきっかけは、「自分にもできるかも」 |
| 講座には4人の参加があり、参加した動機を伺うと、「区の広報誌を見て知った。ちょっとしたお手伝いであれば自分にもできるのではないかと思い、参加した」「普段の地域福祉コーディネーターとしての活動に活かしたい」「見守りや外出支援に必要な正しい知識を身につけたい」といった声が寄せられました。 |
| 第1回目~3回目の講師を生野区で活動している特定非営利活動法人 出発のなかまの会の勝井操さんが務めました。 |
| 第1回目では、理学療法士も講師に迎え、加齢に伴う身体機能や姿勢の変化、転倒リスクについて学び、日常生活での注意点や支援時に配慮すべき身体的特徴について詳しい解説がありました。 |
| 第2回目では、「相手の思いを知ること」「利用者へのリスペクトを忘れないこと」「コミュニケーションを大切にすること」といった基本姿勢について、実際の場面を想定したロールプレイを交えて学び、実際のやり取りを想定した演習でサポートする際の心構えを深めました。 |
| 取材当日の第3回目では、普段会館を利用している地域住民の方2人に利用者役で協力いただき、東桃谷福祉会館・老人憩いの家までの道のりを付き添う体験をおこないました。参加者は「これから百歳体操に参加する」という外出場面を想定し、移動時の支援方法を実践しました。 |
![]() ▲出かける前に気をつけることやルート等を確認し合う様子 |
| ◆実際の場面を想定して体験し、心構えを深める |
| 体験は2人1組でおこなわれ、それぞれの参加者が利用者役の方の希望に合わせて付き添いをおこないました。参加者が「気をつけてほしいことや、しんどいことはありますか」と声をかけると、利用者役の方からは「右足が痛いので支えてほしい」「曲がる時など、ところどころで声かけをしてほしい」等の返答があり、実際の場面を想定したコミュニケーションが交わされました。歩行のペースや支え方、声かけのタイミングなど、利用者の状況に応じた対応が実践されました。 |
| 体験終了後、利用者役の方からは、「腰を支えてもらうと、歩くのが楽だった」「歩くスピードを気にかけてくれたので、焦ることなく安心できた」「おしゃべりしながら歩くことができて、とても楽しかった」といった感想がありました。 |
| 第3回目の講座をふりかえって、講師の勝井さんは、「危険を察知しながらも、まずはその方がどの程度歩行に不安を感じているかをお聞きし、その方の状態に合わせて支援することが大切です」と参加者へ伝えました。 |
| 続けて勝井さんは、「地域には自分のできることを活かして活躍できる人がたくさんいます。この取組みが広がることで、担い手が増え、通いの場に参加できる人が増えてほしいです」と話しました。 |
![]() ▲講師の勝井 操さん(写真中央)と4人の受講者 |
| ◆高齢者疑似体験から声のかけ方などを学ぶ |
| 講座の後半では、外出に対する不安や恐怖心を理解するため、高齢者疑似体験をおこないました。参加者はサポーターや重り、ゴーグルなどを装着し、加齢による身体の変化を体験しました。体験後には、「足が上がりにくくてつまづきそう」「前かがみになると視界が狭くなる」「視界がぼやけて安全確認がしにくい」といった感想が共有されました。勝井さんは、「不安や恐怖心があると、外出することが億劫になります。少しの声かけや見守りなど、できる範囲でのお手伝いが安心につながります」と伝えました。 |
![]() ▲高齢者疑似体験をしている様子 |
| ◆地域のつながりが活動を支える |
| 区社協の川北朋果第1層生活支援コーディネーターは、「外出に不安を感じる高齢者の方が、安心して地域の集いの場に参加できるようになることは、孤独・孤立の防止や健康の維持にもつながります。また、ボランティア活動というと、特別なスキルが必要でハードルが高いと思われがちですが、実際には“ちょっとした気づかい”や“声かけ”が大きな支えになります。今回の講座を通じて、参加者のみなさんが『自分にもできることがある』『これなら始められそう』と感じてくださったことが、何よりの成果だと感じています。今回初めて開催してみることで見えてきた課題もありましたが、本格実施に向けてこの取組みが広がっていくよう、みなさんと一緒に考えていきたいです」と語りました。 |
![]() ▲「気軽にボランティア活動を始めるきっかけにしたい」と話す川北第1層生活支援コーディネーター(写真右) |
| ◆一つの目的に向かって関わり合う |
| 今回の講座では、参加者・講師・地域住民など、多様な立場の人々が一つの目的に向かって関わり合う姿が見られました。支える人と支えられる人という関係を越えて、互いに学び合い、つながり合う時間となりました。 |
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| ※本記事は、広報誌「大阪の社会福祉」令和7年7月11月号掲載記事に基づき作成しています。 |
| お問い合せ:大阪市生野区社会福祉協議会 |

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