2025.08.20

種別を超えた社会福祉施設のつながりづくりに向けて(東淀川区)

東淀川区社会福祉施設連絡会総会の開催
 東淀川区社協は、令和7年7月23日に東淀川区※社会福祉施設連絡会(以下、施設連)の総会を開催しました。第一部では、東淀川区施設連会長の野村康治さんから挨拶の後、昨年度(令和6年度)の事業報告や今年度(令和7年度)の事業計画を諮りました。内容では、社協が取り組む活動やボランティア活動などを報告した後、加盟施設から事業紹介等のお知らせもありました。

▲開会にあたって野村康治会長からあいさつ

地域の声から始まった「こども食堂ハレルヤ」
 第二部では、2法人から公益的な取組みに関する事例報告がありました。
 まず、「社会福祉法人身体障害者自立協会」理事長の西村謙さんから、「こども食堂 ハレルヤ」について、報告がありました。この取組みは、令和6年8月から淀川栄光協会を会場に毎月第4土曜日に実施しています。18歳以下のこどもは無料で、大人は200円で利用することができ、幅広い世代が参加しており、地域のボランティアや学生ボランティアとともに運営しています。
 取組みのきっかけとしては、法人の評議員を当該区の民生委員・児童委員の方にお願いしたいと考え、相談したところ、民生委員の方から「まずは地域の話を聞いてくれへんか」と指摘を受け、施設がある地域にはPTAがなく、地域のこどもが通える居場所や楽しめるイベントがないことを知りました。これまでも何か取組みをしたいと思っていたものの、足踏みしていたため、これを機にこども食堂の実施に向けて一歩踏み出しました。
 一回目の実施ではカレーを60人分用意していたが、参加したこどもは4人しかおらず、習い事に通うこどもたちに声をかけて誘い、集めていたこともありましたが、今では参加者が50人を超える日も多くあるそうです。ただ、こども食堂を運営するにあたって、人手が足りないという課題がありました。そこで、ボランティア団体と協力し、学生ボランティアを募ることで、こどもが学生ボランティアと一緒に食べる様子も見られるそうです。
 最後に西村さんは「本当に必要な人に情報が届いていないかもしれないもどかしさは感じていますが、『ここってこんな場所だったんですね』と今まで施設を知らなかった方々に知ってもらう機会となっており、結果として公益的な取組みにつながっていると感じています。今後は、こども食堂に参加した人たちの悩みごとを解決できるような居場所をめざしていきたいと思っています。また、現在は施設の利用者と参加者が関わる機会を持てていませんが、施設のイベントと組み合わせて実施も考えたいです」と話しました。

▲カレーを楽しみ、卓球で盛り上がるこどもたち

社会福祉法人身体障害者自立協会の概要はこちらからご確認ください。
心も体も温まる施設設備の地域開放
 次に、「社会福祉法人優光福祉会さわやかサービスセンター」主任の吉川和代さん、同法人「南方地域総合相談窓口(ブランチ)」の音堂公二おんどうこうじさんからは施設設備の地域開放の取組みについて報告がありました。
 吉川さんからは、デイサービスがお休みの土曜日に自慢のお風呂を活用した「さわやか乃湯」の取組みについて説明がありました。この取組みは、「デイサービスが休みの土曜日に何か地域に向けた取組みはできないか」と職員間で検討を重ねるなかで、お風呂を開放してはどうかとなり、毎月第3土曜日に男女で時間を分けて、65歳以上の元気な高齢者を対象として実施しています。吉川さんは「現在は男性利用者がほとんどですが、今後女性利用者が増えてきたらエアロビスクを企画し、健康寿命の延伸につながるような活動もしていきたいと考えています」と話しました。
 音堂さんからは、ブランチで実施している「カラオケ喫茶」の取組みについて報告がありました。コロナ禍前から実施していた活動ではあったものの、コロナ禍の影響で休止していました。そのようななかで、地域活動協議会が開催するワークショップに参加した際に、地域住民から「地域には社会福祉施設が多くあるが、何をしているのかわからない」と聞き、法人内で施設を地域に開放してみてはどうかと意見があがりました。そこで、空きスペースを活用し、職員がボランティアとなり、カラオケ喫茶を再開することになりました。
 いまではお風呂を利用された方が、そのままカラオケ喫茶で珈琲を飲んだり、歌ったりして、リフレッシュされている方も多くいるとのことです。
 最後に、吉川さんからは「地域のなかには『福祉や社会福祉施設が何をしているのか知っている』という方も少ないため、公益的な取組みを通じて、新しい方とつながっていく必要があると感じています。多くの方に社会福祉施設について、知ってもらえるように啓発していきたいです」と話し、音堂さんは「総合相談窓口(ブランチ)がどういう場所なのかを詳しく知らない人は多いかと思います。介護・福祉・保健に関する相談をできる身近な相談窓口だということをカラオケ喫茶を利用されている方々に知ってもらい、少しでも困りごとが解決できるように尽力していきたいです」と話しました。

▲お風呂あがりにみんなでカラオケ

社会福祉法人優光福祉会の概要はこちらからご確認ください。
※社会福祉施設連絡会とは、区内の施設相互間の親睦、連絡調整と協同活動を推進し、地域福祉の充実および発展を目的として、各区で展開しており、社会福祉協議会が事務局を担当しています。
施設職員の分野を越えた交流、人権や防災意識を高めることを目的とした研修を開催しています。また、社会福祉施設の地域における福祉課題に対応した公益的な取組み等について支援しています。
加盟施設は、高齢者・障がい者・児童等の分野を問わず、さまざまな種別の施設が加盟しています。
問合せ先:東淀川区社会福祉協議会