2025.12.02

若手職員の視点からも社協のこれからを考える ~社会福祉協議会基本要項2025をもとに意見交換~

社会福祉協議会基本要項2025をもとに、話し合って大阪市に合わせた大阪市社協版を検討
 大阪市社協では、社会福祉協議会基本要項2025(以下、「基本要項2025」)に改定される際の1次案から改定後も含め、大阪市・区社協(24区)で議論してきました。また、基本要項2025は全国共通の指針の内容であるため、大阪市の地域特性や外部・内部環境を踏まえ、基本要項2025に示されている社協の「活動原則」と「機能」について、現在大阪市社協が実施している事業を比較し、十分果たせている点や不足している取組みなども考える機会として何度も話し合ってきました。
 そのなかにおいて、新しく入職した職員や経験が浅い若手職員には、なかなか基本要項の内容について理解しきれていないことなどがありました。そこで、大阪市社協では、新規採用職員研修や社協若手(2~3年目の20代)職員学習会を毎年開催しており、その場を活用して、4月2日には新規採用職員19人に、11月4日には若手職員26人へ基本要項をテーマに研修をおこないました。
わからないなりにも考えることで社協の理解につながる
 4月2日の新規採用職員研修では、これから社協で働いていくにあたり、大阪市ボランティア・市民活動センターの上野谷加代子所長から「地域共生社会創造と社協職員に求められていること先達の実践に学び未来を拓こう~」と題して、基本要項2025を踏まえて社協やソーシャルワーカー、地域共生社会、社協に求められていることについてなどの講義がありました。その講義の後、グループワークで意見交換し、これからの社協と自分自身について考えました。

 

▲上野谷所長からソーシャルワーカーの心構え等についての講義

 

 グループワークでは、「理想の社協職員像」「これから社協でどのようなことに取り組んでいきたいか」「社協の役割や自身が大切にしたいこと」「私にとっての住民主体」について話し合いました。

▲グループワークシート

前向きな意見交換で、いろいろな考え方を知り、視野が広がる
 感想では、「『助け上手・助けられ上手』という言葉を聞き、改めてその大切さに気付いた。自分自身が倒れてしまうと元も子もない。自分のことにも目を向け、助けられることの大切さも知った」「住民一人ひとりや地域に合わせた取組みをするために、担当の地域がどのような地域でどのような人がいて、そこにどのようなニーズや資源があるのかを把握することが必要であると考えた」「住民のもつ潜在的なニーズをキャッチして、さまざまな団体や人と協働できるよう、ネットワークをつくることが社協に求められていると感じた」「『住民主体とは』という問いに対してそれぞれの意見があり、正解がないなかで他の方の意見を聞くのは新鮮で新たな考え方を知ることができてよかった」「住民主体となるよう、社協の思想や理想を押し付けず、活動参加が強制的なものにならないよう気をつけて取り組んでいきたい」「前向きな意見交換が行われ、自分自身の考えの幅を広げることができた」などがありました。
実践を積んでいる今、改めて社協とは何かを問うことで次のステップへつながる
 11月4日の社協若手職員学習会では、摂南大学の上野山裕士先生を講師に迎え、「社協の専門職として求められていること -基本要項2025を踏まえて-」と題して、講義がありました。講義では、基本要項の紐解き、地域福祉とは何か、社協に期待される役割、知った者の責任を果たすことなど、上野山先生のエピソードトークも交えて話していただきました。

▲上野山先生からエピソードを交えての講義

 

 

 

 講義の後、グループワークをおこない、「基本要項2025で深めたいと思ったこと」「社協の使命や求められていること」「社協の役割や自身が大切にしたいこと」「住民主体において住民主体を形成するためには」「地域の思いを具現化する方法、地域の思いを形にするためには」について深めました。

▲グループワークの様子

▲グループワーク記録(一部)

 

 

 

 

 

 

 

 

民間組織である社協だからこその強みを再確認
 感想では、「個別支援と地域支援の強みをそれぞれ活かして、連携できるように日々の業務のなかでより意識していきたい」「社協職員として、制度的な取組みと非制度的な取組みの架け橋になり、非制度的な取組みを支え、取組みの制度化・事業化をしていくことが社協として必要であると感じた」「ガチガチな枠組みの中で仕事をしていくのではなく、柔軟に、民間組織である社協だからこそできる取組みに力を入れることも大切なのではないかと意見が出て印象に残っている」「住民等との日常的な対話や協議はどの社協活動においても必要であり、地道に積み重ねていくことが大切である。住民主体と言って住民に任せるのではなく、一緒に考える姿勢を持つことを大切にしたい」などがありました。

▲各グループで出た意見を全体共有で発表

社協に求められていることや使命を考え、これからも取り組む
 これから働き始める新規採用職員と実践を少しずつ積みながら社協や専門性、手法などを改めて考える時期の若手職員へ、基本要項2025をツールとして研修をおこないましたが、出ていた意見等を比較して、経験年数の違いや他部署の視点など、興味深い研修となりました。
 大阪市社協全体として、引き続き社協が求められていることや使命などをもとに、これから取り組んでいくことや大阪市社協のあり方を考え、実践を積み重ねていきます。また、現在少子高齢化・人口減少や単身化、つながりの希薄化、複合的・複雑的な生活課題など、地域福祉に求められることが大きくなりつつあります。多様な団体が地域福祉の活動に取り組んでいるなか、社協は社会福祉法で位置づけられ、地域福祉の推進を図ることを目的とする団体としての強みを活かし、今後も取り組んでいきます。