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実践者から学ぶ 居場所としての「こども食堂」(平野区社協)

平野区社協では、7月14日(木)、地域福祉活動コーディネーター連絡会で「にしなり☆こども食堂」の川辺康子さん(=写真)を講師に迎え、「居場所づくりはこども食堂から」と題した講演をおこないました。

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地域福祉活動コーディネーターは、平野区内22地域に1人ずつ配置され、身近な地域での相談窓口、地域福祉活動の推進役を担っています。今回の講演は、そんなコーディネーターに向けて「SOSをあげられないケースを含めて、子どもたちへの気づきの視点や、地域での取組みを考える契機になれば」と企画されました。

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▲区役所からも多数参加し、総勢約50人が聴講

■「こども食堂」を定期開催して3年目

「にしなり☆こども食堂」は、2010年春から不定期に試行を重ね、2014年4月から本格的に定期開催しています(火曜・土曜:午後5時30分~)。会場は西成区出城の「にしなり隣保館」。地元小学校区内の子どもたちを中心に、子どもだけでも毎回約50人が来るそうです。

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■「この子に来てもらいたい」が原点

さかのぼること16年前。児童館での勤務から、川辺さんの子どもと関わる活動は始まります。そこで「お昼時に家に帰らない」「感情をコントロールできない」など、ちょっと気になる子どもたちの存在に気づき、料理教室などを企画してきました。そんな中で出会った一人の男の子を「ほっとかれへん!」と思った川辺さん。「この子に来てもらえる場をつくりたい」と立ち上げたのがこども食堂でした。

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■親と子の抱えるしんどさに目を向けて

しんどい状況の子がいれば、多くの場合、その親も何らかのしんどさを抱えている。だからこそ、お金がなくても来ることができるようにと子どもも大人も参加費は無料にしているそうです。その分、WAM助成金やフードバンクの活用、個人・団体からの寄付、そして毎回の運営ボランティアなど、さまざまな力を借りて運営してきました。

「一見普通に見える子も、複雑な家庭環境やしんどさを抱えていることがあります。しかし、多くの子は、信用できると思うまで大人にしんどさを話すことはないのです」

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■みんなで育て合う 第3の居場所

貧困やしんどさを抱える子どもたちに寄り添う一方で、川辺さんは「こども食堂=貧困家庭の子どもに限った場ではなく、誰でも来ていい。どんな私でも、何もしなくてもここにいていい。そんな場にしたい」と話します。

「家庭でも学校でもない居場所として、子どもたちの成長を支えたい」。そんな思いでこども食堂を続けていると、かつて気になっていた子が、今では小さい子の面倒を見てくれている。ある若いお母さんは「ここに来るようになって、いろんな人と知り合い、見える景色が変わった」と話す。そんな心温まる相互作用も生まれているそうです。

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■取材を終えて

こどもの貧困という大きな問題を背景として、各地で開設が相次ぐ「こども食堂」。個々の活動に目を向けると、立上げの動機、活動形態や頻度はもとより、どんなニーズに着目し、何を重視して運営しているかは、まさに多様であると言えます。川辺さんも「平野区のみなさんからヒントを持って帰りたい」と話しておられたように、現在運営中のこども食堂も、さまざまな課題と向き合いながら、よりよい方法を模索し、変化の中にあることを感じました。

今回の川辺さんの講演からは、「にしなり☆こども食堂」の特徴として、「ほっとけない」から始まった市民活動ならではの「温かさ」や「柔軟性」を感じました。そして「そもそも一人のために始めたので、参加者の多い・少ないは重要じゃない」「今の形で合わなければ、目の前の子どもたちのためにやり方を変えればいい」と、常に子どもを中心に考えた運営を貫いておられることが何より印象に残りました。

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講演後、川辺さんにこども食堂の広がりをどのように考えておられるかお尋ねすると「子どもの移動は校区内が基本。なので理想は、小学校区に一つあることかな」と答えてくださいました。

(地域福祉課 田淵)

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