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地域福祉シンポジウム「小地域福祉活動の推進と今後の展開」 開催レポート

市社協は2月5日、中央会館にて「地域福祉シンポジウム」を開催しました。講師に関西大学人間健康学部・所めぐみ教授を迎え、3区の実践報告を通して「小地域福祉活動の推進と今後の展開」ついて深めました。

▲会場の様子

大阪市内では、長年に渡り地域住民が主体となった福祉活動が推進されてきました。社会や生活状況の変化に応じて、さまざまな暮らしの課題を捉えた活動がれる一方で、参加者や担い手の固定化といった課題もあがっています。所先生は、 小地域福祉活動を組織的に進める強みとして、共同性、地域での代表制、日常的な活動性、継続性、蓄積性を挙げ、これらがあること新たな参画や協働につながりやすくなると説明。

そして「事例を通して、住民同士のつながり・支え合いの活動の基盤となる“話し合いの 場”がどのようにしつくられたのか、一人ひとりの気づきをどのように地域の取組みへとつなげたのか深めていきましょう」と次の実践報告につなぎました。


〈報告1〉『大淀西ニコニコプラン』 に基づき展開している新たな福祉活動について(北区)

▲〈報告1〉「ニコニコかふぇ」で専門学校の学生によるネイル体験(北区大淀西地域)

大淀西地域では、平成 29年に 小地域福祉活動計画「大淀西ニコニコプラン」を策定。地域の課題について話し合い、活動の拠点である会館は隣接する地域にあるため、歩いて参加することが困難な高齢者が増加傾向にあるという課題が多く出されました。同地域社協理事・井上治美さんは、以前に地域から受けた「会館まで通えなくなった」という相談が気になっていました。そこで「家族のことで地域にお世話になったので、地域に恩返しがしたい」と言ってくださっていた介護タクシー事業所の社長に相談。社長はボランティアでの介護タクシーによる高齢者食事サービス時の移動支援を快諾。現在14人の送迎を担っていただいています。

また、会館まで行けなくても近くの居場所で交流ができるようにと、銭湯やマンションの会議室などを活用した「ニコニコかふぇ」を開催しています。ベルェベル専門学校の学生による ネイル体験やパフォーマンスボランティアによる大正琴の演奏などさまざまなコラボレーショ ンを展開。「ニコニコかふぇ」 には、最初に相談があった方も参加。地域の高齢者のひきこもり予防にもつながっています。

同地域社協会長・山﨑英與さんは、計画を策定し、推進していくための工夫について、 「みんなで考えて、みんなで決めて、みんなで実行すること」 と熱く語りました。


〈報告2〉地域の団体と学生が協働でおこなう『みんなの食堂』の取組みについて(阿倍野区)

▲〈報告2〉「みんなの食堂」でこどもも大人も一緒に食事(阿倍野区晴明丘地域)

晴明丘地域の「みんなの食堂」は、誰でも参加できる地域住民の交流の場として、平成30年9月にオープン。設立のきっかけは、公園の世話人をしていたおっちゃんのある一言。「遊びにきていたこどもに『おなか減ったんやけど、食べるものない?』と聞かれた。なんとかできないか?」。それを聞いた同地区社協 会長・石橋一昭さんは、「みんなの食堂」の設立を考案。地域で取り組んでいくために、設立主旨を各団体に説明に回って合意形成し、人材、食材、資金などを継続して確保できるよう運営体制を整えていきました。

また、新たな参画として、大阪キリスト教短期大学の学生が毎月こどもの遊び相手としてボランティアに来ています。石橋さんは「活動において協働は大きな力になる。たまたま出会った人が後に大切な協働相手になることもあるので、人と人との出会いは特に大切にしたい」と熱い思いを語りました。


〈報告3〉地域の団体と学生が協働でおこなう『みんなの食堂』の取組みについてつながる・安心安全のまちをめざして は近所付き合いの第一歩〈全戸アンケート調査の取組み〉(住之江区)

 

▲〈報告3〉見守りに関するアンケートについての会議(住之江区海の町地域)

海の町地区民生委員児童委員協議会 委員長・中川千鶴さんは、住之江区社協から要援護者名簿を受け取り、日頃から見守り活動をおこなっていました。しかし、平成30年地震と台風の被害を受け「この方たち以外にも、支援を必要としている人がいるのでは」と考えました。地域の中で何度も話し合い、見守りに関する全戸アンケート調査を実施することに。そのポイントは、記名式のシンプルな項目にすること、見守りボランティアを同時募集すること、近所付き合いで日頃やりとりしていることをアンケートに記入し、文字にすること。
アンケートの結果、今まで訪問していた世帯以外にも見守りを希望する世帯が多いことが明らかになり、民生委員が各世帯を訪問。実際に相談機関につながるケースもあり、一人暮らしの方から「心強いのでありがたい」という声も寄せられました。
さざんか海の町協議会会長・小髙秀昭さんは「今後はボランティアを希望する人たちと集まり、見守りのルールづくりを進めていきたい」と今後の展望について語りました。


一人ひとりの気づきを地域の力に

3つの実践報告を通して、一人ひとりの気づきや課題だと感じたことを地域組織で話し合い、具体的な取組みへとつないでいるという共通点がみえてきました。

所先生は「課題は、必ずしも問題ではない。課題があるのは、本当はこうだったらいいなという思いがあり、それが現実と差があるから。その思いを地域のなかで中心になる人たちと共有し、取組みにつなげることが大切である」と課題の捉え方やその思いを地域に拡げていくことの重要性を提示し、シンポジウムを締めくくりました。

▲左上:さざんか海の町協議会 小髙秀昭会長 上中央:晴明丘地区社会福祉協議会 石橋一昭会長 右上:大淀西地域社会福祉協議会 山﨑英與会長 左下:海の町地区民生委員児童委員協議会 中川千鶴委員長 下中央:関西大学人間健康学部 所めぐみ教授 右下:大淀西地域社会福祉協議会 井上治美理事

 

※この記事は「大阪の社会福祉」第779号(令和2年4月号)掲載記事に基づき作成しています。

 

 

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