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【連載】「コロナの中で」②数珠つなぎで、ネットワークを拡大 -こどもの居場所をまもる-

このコーナーでは新型コロナウイルスの影響下において地域福祉に関わるさまざまな「人」に焦点を当てて、インタビューを通して、その人ならではのストーリーや思いに迫ります。


数珠つなぎで、ネットワークを拡大 -こどもの居場所をまもる-

▲プロフィール: 妻・裕子さん(ケアマネージャ ー)と助け合いながら、こども食堂を中心とし た、こどもの居場所づくりに力を注いでいます。将 来は、法人として高齢者対象の事業に着手したい と考えています。3人の娘の父親。介護福祉士。


介護福祉士なのに、こども食堂?

▲ コーナー第2回は、NPO法人くるるの 大西史高さん(左)のお話を掲載。妻の大 西裕子さん(右)と力を合わせ、コロナ禍 でも“今できる活動”を継続中

にしよどこども食堂くるるは、2016年、裕子さんと地元の元PTA会長とともに出来島地域でスタート。月1回、18時、19時の2部制で食事を提供。20時には全員を集め、町ごとにそれぞれの自宅まで送ります。こども同士が集まって夕食をとる特別な空間は、学校でも話題になるほど人気で、たちまち参加者が増えました。初回は約30人からはじまり、現在では70人を超えています。

介護福祉士の大西史高さんが「くるる」で活動を始めたのは、裕子さんから「立ち上げたばかりのこども食堂を手伝ってほしい」と頼まれたからでした。

「仕事ではこどもと関わらないので、最初は、え…?と思いました」と話しますが、ひとり親家庭で育ち、地域の人たちの中で過ごしてきた裕子さんの「自宅や学校にはない居心地のいい場所を作りたい」という強い思いを支えたい気持ちがありました。それが今につながっています。


地元商店と協力した「ONIGIRIプロジェクト」

▲くるるの配食「ONIGIRIプロジェクト」は、お母さんたちの声を直接聞く機会にもなりました

くるるは、メインの事業のこども食堂に加え、近年は、多世代交流や学習支援、食育支援など、事業も盛りだくさんになりました。今年、法人化すると同時に史高さんは代表に就任。対外的な仕事を引き受けるほか、裕子さんが仕切る現場もサポートしました。組織が整い「さあ、これから」というときに、新型コロナウイルスが流行しました。

史高さんが最も危機感を持ったのは、家に閉じこもるこどもたちのストレスや、日中親が不在の家庭の食事です。

4月、緊急事態宣言発令後は、こども食堂を休止する代わりに、「ONIGIRIプロジェクト」をスタート。おにぎりに地元商店のおかずをセットにしたもので、4月17日から5月29日の間に計1300食を提供し、喜ばれました。その後も、社協の外出自粛高齢者・障がい者等見守り支援事業の配食などを利用し、継続しています。

「弁当を手渡す時、いつもはそんな風じゃないのに『ありがとう』ときちんと挨拶する子もいて、どうしたのかなと逆に心配になりました」と、こどものデリケートな心の変化を気にかけます。史高さんは、こどもたちに「ふみさん」と慕われ、中には「ふみさんを助けるんや」という不登校の子が弁当づくりを手伝い、史高さんが励まされることもあります。


人の心をつかむのが上手な”人たらし”

「人の心をつかむのが上手な”人たらし”。こどもにも大人にも、間に壁をつくらない。そこを一番頼りにしています」と裕子さん。”疫病退散”の妖怪アマビエを描くコンテスト「アマビエチャレンジ」を企画した時も、企業賞をつけるため、異業種ネットワーク「にしよどリンク」の仲間を通じて「誰かいませんか?どっかないですかね?」と聞いて回ります。すると、町工場の社長、放課後デイ、運送会社…と数珠つなぎで紹介され、30社近くが協賛しました。

▲「アマビエチャレンジ」では協力してくれる人が次々とつながり、「にしよどの力を感じた」

最近は、出来島小学校の広々とした体育館で密を避けながら、地元企業提供のダンボール廃材でつくる少人数の工作イベントを開催し、こどもをのびのびと遊ばせています。

「今は、少人数、短時間、野外など、リスクを最小限に抑えた環境を模索しています。12月にはクリスマス会の代わりに防災をからめたイベントを企画しています。コロナ禍でも、できることはできるだけ試してみたいと思っています」と史高さん。こどもたちの心をつかんで離しません。

▲密を避けて広い体育館でダンボール工作イベントを開催(出来島小学校)


本記事は、「大阪の社会福祉」第786号(令和2年11月発行)の掲載記事をもとに作成しています。

(担当:地域福祉課)

 

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