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【西淀川区】名簿提供から始まる 地域の見守り体制づくり

市内各区で推進される「地域における要援護者の見守りネットワーク強化事業」。その機能の一つとして、行政が持つ要援護者情報に基づく、高齢者・障がい者等への同意確認と名簿の整備、同意者名簿の地域団体への提供がすすめられている。こうした動きを、具体的な“見守りの体制づくり”へとつなげていくには、地域ごとの活動実態を踏まえた「調整役」や、見守り意識を高める「場の設定」が鍵となる。

西淀川区では、事業を担う区社協・見守り相談室に、14地域ごとの地域福祉活動支援コーディネーター(以下、コーディネーター)を独自に配置。名簿共有を機に、地域に合った見守りのあり方を考えるワークショップを順次開催している。

▲同意者名簿と地域住民が持つ情報を重ね合わせる(右奥:清水コーディネーター)


■ 知ることから「気にかける」関係へ

JR御幣島駅の西に位置する千舟地域。元々工場を中心とした地域であったが、今は中小の工場と新興住宅、大型のマンションが入り混じる。千舟会館で5月19日午後7時から開催されたワークショップには、地域役員、民生委員とともに、区社協、区役所職員ら計28人が集まった。

この日提供される同意者名簿は、同地域に住む94人分。名簿に基づき戸別訪問を重ねてきた清水妙子コーディネーターは「快く受け入れてくださる世帯が多いけど、名簿以外にも地域で埋もれて困っている人はいるはず。そんな人への気づきに、みなさんの力を貸してほしい」と投げかけた。

ワークショップでは、1~2町会ごとに住宅地図を囲み、名簿と照合。参加者が「知っている人」「知らない人」を色分けして地図上に印をつけ、名簿以外の「気になる人」も挙げる。すでに見守り、気にかけていた人を確認できた一方で、「これまで知らなかった人を認識できたことが成果」「オートロックのマンションは知らない人が多かった」との声があがった。

これまでの「無意識」を、日常生活の中で「気にかける」関係へ──。見守り支援ネットワーカー(CSW)の松原有告さんは「このような気づきを持ち寄れる場が大切。みなさんに挙げていただいた“気になる人”は、これからコーディネーターとともに把握していきたい」と、住民の気づきの声を受け止めた。

▲今後に向けて、見守り状況を定期的に持ち寄る報告会を提案する松原さん


■ 地域性+専門性を活かした支援をめざして

ワークショップは、3月に川北地域で実施し、今回が2地域目。今後、区内各地域での開催をめざしている。

昨年度から配置したコーディネーターは、見守り相談室職員でありながら、いずれも担当地域の住民であり、地域事情に強い。区社協職員は口々に「コーディネーターが、地域の同じ住民という目線で調査したことで、地域役員などの理解や名簿も受け入れられやすい」と話す。千舟地域の清水さんは、連合女性部長としての顔も持ち、地域と見守り相談室の橋渡し役として、事前調整に奔走してきた。

見守り相談室は、地域から孤立している人や複合的な課題を持つ世帯への相談機能も持つ。松原さんは「コーディネーターの住民ならではの関係性や情報網で、支援を要する世帯への接近の糸口を見つけられたケースもある」と相談支援上の連携にも期待を寄せる。地域と相談機関の視点をすり合わせる機会として、コーディネーター連絡会での事例検討も始まった。

▲コーディネーター連絡会に集まった見守り相談室のみなさん

これらの推進にあたり、区社協では見守り相談室を軸に、地域支援担当、地域包括支援センター、生活困窮者支援の相談員らが、互いの役割を認識し、協働し合える体制を組んでいる。チームワークの要として、佐藤茂忠事務局長は「地域とともに住民の暮らしを守るのが社協の役割。各部門が一体となって、地域の見守り支援に取り組んでいきたい」と力を込める。

見守りは、一朝一夕にできるものではない。地域ごとに歩調を合わせながら、対話の場を設け、これからの見守りを考える。その着実な積み重ねが、それぞれの地域らしさを持った見守りの浸透につながることだろう。

-大阪の社会福祉第745号(平成29年6月発行号)掲載記事から-


各地域のワークショップは「大阪市西淀川区社会福祉協議会」Facebookページで順次発信中!

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