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【特集】当事者・家族にとっての「つながり」と向き合う 2⃣できるだけ早い時期にこどもの可能性を広げたい NPO法人み・らいず2

NPOや民間団体、当事者団体等もそれぞれのミッションや思いをもとに、取組みを積み重ねています。今号では、住之江区に本部を構え、大阪市内外で活動している「NPO法人み・らいず2」に話を聞きました。


▲み・らいず2の前田綾子さん(左)、武井千世さん(右)

若い力でこどもたちの未来を支える

「み・らいず2」の原点は、障がいのある男性とそのお母さんとの出会いから生まれた、「障がいのある人の暮らしをもっと豊かにしたい」という思いにあります。

代表の河内崇典さんは大学生の頃、仲間たちとガイドヘルパー活動を開始し、2001年に「NPO法人み・らいず」を立ち上げました。以来20年の間、大阪市や堺市を拠点に、学校や地域などで「生きづらさ」のあるこども・若者や障がいのある方たちを支援してきました。2018年、バージョンアップの意味を込めて改称した「み・らいず2」では、こどもの将来を考える支援に目を向けています。副代表の枡谷礼路さんは、その理由をこう話します。「ひきこもりや社会との孤立を余儀なくされた人と出会う度に、こどもの頃から本人に合った支援があれば、今が違っていたかもしれないと思います。より早い時期に出会い、まだ将来が固まっていない大学生と一緒に、本人の可能性を広げ、未来に向けて一緒に成長していきたいと考えています」。


出会うためにオープンした「みらい食堂」

ひきこもり・不登校に関する住之江区での事業は、10数年前から、大阪市の委託で居場所づくり「サテライト」や、大阪市の塾代助成事業を活用した学びづらさのあるこどもを対象とした個別学習支援「ラーンメイト」がおこなわれていました。ラーンメイトは、大学生が塾講師として勉強を教え、休み時間にはこども同士の交流もあります。元担当の前田綾子さんは「親御さん以外の人とつながれる環境のなかで、こどもたちは安心して勉強しています。『いい点とれたよ』とテストを持ってきてくれることもあります」。

学力向上に直結しない部分も支えることで、結果的に学力にいい影響を及ぼしています。

また、み・らいず2となってから、気になる子と「早く出会う」ために、2019年「みらい食堂」をオープンしました。さまざまな事情で孤食になっているこどもを対象にした少人数のクローズド形式です。ご飯を食べたら終わりではなく、大学生と一緒に、ゲームやミニ運動会、ものづくり等の文化的な経験を通してコミュニケーションを図っています。参加した高校生も、自然に手伝う側にまわっているそうです。

担当の武井千世さんは「ご飯は、こどもたちと早く出会うための手段。食堂は、アウトリーチの場所です。ここで出会った子を、その子にあった本当の支援につなげることを大事にしています」。

コロナ禍では、食堂を休止する代わりに、お弁当配達サービス「みらい弁当」を開始し、安否確認も兼ねて1カ月間、家庭に弁当を届け続けました。弁当があったから出会えたこどももいたといいます。このほか、区内の中学校で月2回ひらく居場所支援も、気になる子との出会うための場所となっています。


支援関係者が力を合わせてこどもたちの環境をバージョンアップ

み・らいず2は、住之江新北島地域で、地域住民が中心となって今年4月にオープン予定のこども食堂立ち上げについて、相談役を務めています。「運営は、地域の方が主体となって、我々や区の子育て支援室などは福祉の視点で食堂を訪ね、気になるお子さんに出会ったら、そこから支援につなげる役ができたらと考えています」と武井さん。

近年、法人本部を置く住之江区の事業に力を入れています。枡谷副代表には思いがありました。「不登校やひきこもりの方が、なぜ、こういう状況におかれているのか。区内の活動に重点をおくことで、都市部の特長的な課題も見えてくる。それを解決できるモデルをつくり、広げていきたいと思っています」。

一方で、こども食堂立上げに関して、み・らいず2と地域の橋渡し役を担ってきた区社協の小出泰生さんは「NPOと地域では、それぞれのやり方があるなか、社協が通訳者となることで合意形成がスムーズになればと考えています。多職種連携の枠組みづくりを視野に入れ、引き続き後方支援をしていきます」。

相互に連携することで、こどもを支える環境がバージョンアップすることに期待したいです。


本記事は、「大阪の社会福祉」第789号(令和3年2月発行)の掲載記事をもとに作成しています。

(担当:地域福祉課)

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