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【住之江区】活動者とともに考える地域活動の後輩づくり

「いつも同じ顔ぶれで活動をしている」「新しい担い手が入ってこない」──地域活動の担い手不足や固定化は、全地域共通の悩みと言えるかもしれません。一方で、この問題に正面から向き合い、「なぜそうなっているのか」「どんな手立てが考えられるか」と、あらためて話し合う場は、意外と少ないのではないでしょうか。

▲「今まで地域活動に関わりが薄かった住民層へのアプローチ」の全体像(大阪の社会福祉 第744号 5面から抜粋)

住之江区社会福祉協議会と住之江区まちづくりセンター(同区社協による受託運営)は、住之江区役所とともに平成28年度の一年間、地域活動に関わる人たちが“後輩づくり”を考え、実践し、共有する一連のプロジェクトに取り組んできました。そのあゆみをふりかえり、検討会で交わされた活動者の声や企画者である社協職員の思いをお届けします。


■どんな人に担い手に加わってほしい?

住之江区地域福祉計画「ふだんのくらししあわせプラン」では、区内14地域全てにおいて“担い手の拡大”が地域課題としてあがっています。「今あるすばらしい地域活動がこれからも継承されるように、担い手の入口と受け皿づくりを後押ししていきたい」。区社協・まちづくりセンターのこうした思いが、プロジェクトのきっかけとなり、地域活動の担い手育成に関する調査研究に取り組む甲南女子大学 鈴木大介准教授、大阪市社協も加わり検討を開始。大阪市市民局の協力も得ながら、①「地域活動の後輩づくり」に向けた検討会②モデル地域へのアプローチ③区全体の意識共有のシンポジウムの3つを連動させながら取り組んできました。

①検討会は、住之江区役所「きずなステーション」で開催し、各地域活動協議会(地活協)の中堅・若手層を中心に15人が参加。鈴木先生のユーモアあふれる進行のもと、3回に渡る討議を重ねました。

第1回(10月21日)、はじめのお題は「どんな人に担い手として加わってほしいか」。さっそく「頭の柔らかい力持ち」「フットワークの軽い40代」など、実践者ならではの具体的な人物像が出てきます。

▲「こんな人と一緒に活動したい!」を披露

では、そのような仲間になってほしい人たちが「地域活動に関われない背景」とは──続く第2回(11月4日)の話し合いでは「これをやらないといけない…となると関わりにくい。やりたいことや単発ならできるという人もいるのでは」「一人で参加するのは照れくさい。グループ意識が入りづらさを生んでいるかも。もし自分が今、別の地域に移り住んだら地域でのボランティアはしないだろうと思う」といった声が寄せられました。


■ここが関わりにくいかも・こうすれば関われるかも

さらに視点を変えて“地域活動に新たに入っていく人”の目線に立って「こんなところが関わりにくいのでは」「こんな地域なら関われるかも」を考えます。これには「こんな視点で見たことなかったなあ」という声も。

「何時に終わるかわからないのは関わりにくい。時間ごとに区切れば参加しやすい人もいると思う」「一年間のスケジュールが見えたら、この部分ならできる・やってみたいが出てきやすいかも」「誰と一緒にするかも大事。PTAの役員を決めるときにも“あの人と一緒ならする”という声があったし…」──意見が一つ出されるたびに「それ私も!」という共感や、「そんな考えもあるのか」という刺激が広がります。

第3回(11月22日)は、グループごとに「ターゲットを設定し、どうやって参加を促すか」という戦略を企画書に落とし込み、プレゼンテーション。「小学生の子がいる子育て層」を対象に設定した班は、「仕事に子育てに忙しいなら、親子で参加できるイベントを開く。何よりお父さん自身が楽しめるものを!」。「大学生・専門学生」の参加を促すには「学生に入ってきてもらうというより、自分たちが学生の中に入ってつながりをつくる。イベントで1ブースを任せて自由にやってもらう!」と、ターゲットとなる人たちの状況に思いをはせた企画案が出揃いました。

▲第3回検討会プレゼンテーション後の一枚


■「地域に人材は居る!」

年度の総括として開催した③シンポジウム「ちかつきょう☆人材発見ミーティング」(2月28日)には、区内の地活協関係者ら51人が参加。検討会での議論を追体験するワークショップや、並行しておこなわれたモデル3地域のアンケート結果を通して「地域に人材は居る!」という認識を共有。地域団体・企業・NPO・学生を交えたパネルトークでは、鈴木先生の進行のもと、それぞれの参加のきっかけ、続けてこられた背景を議論し、参加者アンケートでは「自身の地域で人材発見をしてみたい」との回答が72%を占めました。

▲住之江区社協で開催された人材発見ミーティング


■プロジェクトの次なる展開を見据えて

プロジェクトは一年で終結するものではありません。②のモデル地域では「関心があっても、内容が分からない・きっかけがないというのなら、地域行事のブースに飛び込みで参加できる体験コーナーをつくってみてはどうか」という声も聞かれたのだとか。今年度、区社協とまちづくりセンターでは、区役所とともにこうした地域単位での実践の具体化に向けた支援に並行して、〝(仮)子育て世代の防災ミーティング”という企画も構想中。子育て層が関心をもって集まる場をつくって、既存の活動者との出会いの機会をコーディネートしていきたい──住之江区の次なる展開から目が離せません。

-大阪の社会福祉 第744号(平成29年5月発行号)掲載記事から-


◆地域でのアンケート結果と区社協職員の思いをインタビュー形式でまとめた記事 【住之江区】地域活動の後輩づくり〈広報誌・Web連動企画〉 もあわせてご覧ください!

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